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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり食いしばりについて

歯ぎしりとは、睡眠中に上下の歯を「ギリギリ」あるいは「カチカチ」と擦りあわせてしまう習慣のことで、食いしばりは無意識のうちに歯を強く噛みしめてしまう行為を指します。どちらも「食べる」「話す」といった本来の機能とは関係のない動きであるため、非機能的な歯の接触=ブラキシズムと呼んでいます。
ブラキシズムの原因は、人によってさまざまで、現時点ではまだ完全には解明されていません。ストレスや飲酒、薬の影響などが関係していると言われていますが、明確に一つの原因を特定することは難しいのが現状です。
歯ぎしりや食いしばりを放置していると、歯がすり減ったり欠けてしまったり、顎関節に負担がかかったりして、最終的には頭痛や肩こりなど身体全体の不調につながることもあります。

歯ぎしりの種類

グラインディング

グラインディンググラインディングは、上下の歯を「ギリギリ」と強くこすり合わせるタイプの歯ぎしりです。継続的に歯が擦り合わされることで、歯の先端が削れて平らになったり、歯が欠けてしまったりするほか、治療した詰め物や被せ物が外れてしまうこともあります。

タッピング

タッピングタッピングは、上下の歯をリズミカルに「カチカチ」と噛み合わせる動きです。一見、軽い動きに感じますが、繰り返されることで歯への衝撃が蓄積し、歯が欠けたり治療した歯が外れたりしてしまうことがあります。
また、歯を支える歯周組織にまで負担がかかるため注意が必要です。

クレンチング

クレンチングクレンチングは、上下の歯をギューッと強く噛みしめるタイプのブラキシズムです。動きはほとんどありませんが、噛みしめる力が非常に強いため、歯だけでなく顎関節にまで負担がかかります。
その結果、顎関節症をはじめ、肩こり・首こり・顔の筋肉の痛みといった症状につながることがあります。

歯ぎしりを放置するリスク

歯ぎしりや食いしばりを長期間放置していると、歯や顎だけでなく全身にさまざまな悪影響が及ぶようになります。
以下のような症状が代表的なリスクです。

  • 歯の咬耗(すり減り)による知覚過敏、あるいは神経が露出してしまう「露髄(ろずい)」
  • 歯の一部が欠ける(チップ)、または詰め物・被せ物が外れる
  • 歯冠破折(歯の頭の部分が割れる)や歯根破折(歯の根が折れる)
  • 顎の痛みや「カクッ」という関節音を伴う顎関節症
  • 歯に細かいヒビが入り、内部からむし歯が進行してしまう
  • 歯ぐきや歯槽骨にダメージが蓄積し、歯周病が悪化する
  • 肩こり・首こり・頭痛などの全身症状へ波及する

このように、ブラキシズムは単なる「クセ」として軽視されがちですが、放置すれば歯を失う原因にもつながりかねません。

歯ぎしりとマウスピース

歯ぎしりとマウスピース歯ぎしりや食いしばりは原因が一つに特定できないことが多く、その行為そのものを完全に止める治療法は現在のところ確立されていません。
そのため、歯や顎を守るためには「対処療法」が中心となります。代表的な方法が、ナイトガード(就寝時用マウスピース)の装着です。
ナイトガードは、上下一方の歯に装着する透明のマウスピースで、歯と歯の間に入ることで緩衝材の役割を果たします。
歯同士が直接こすれ合うのを防ぎ、歯の摩耗や欠け、治療歯の脱離などを予防するだけでなく、強い噛みしめによる顎関節や歯根への負担も軽減できます。

「ナイトガード」で歯や顎を守るために

保険で作れる「ナイトガード」

歯ぎしり・食いしばり、あるいは顎関節症などの症状がある場合には、保険診療でナイトガード(就寝時用マウスピース)を作製することが可能です。3割負担の場合、費用はおよそ3,000〜5,000円程度になります。ただし、症状がまったくない方が予防目的で作製する場合は保険適用とはなりません。
歯ぎしりは原因そのものを治す治療法が確立されていないため、まずはナイトガードによって歯や顎への負担を軽減することが大切です。初めのうちは装着に違和感を覚える方も多いですが、慣れてくると「マウスピースがないと不安」という方も少なくありません。睡眠時に少しずつ慣らしながら使用することをおすすめします。

ナイトガード(マウスピース)の種類

ナイトガードには、症状や噛み合わせの状態に応じていくつかの種類があります。一般的には、柔らかく緩衝力に優れたソフトタイプと、薄くて違和感が少ないハードタイプの2種類があり、それぞれ厚みや形にもバリエーションがあります。
また、上顎に装着するものが多いですが、場合によっては下顎用のマウスピースが適しているケースもあります。お口の状態に合わせたオーダーメイド設計になるため、担当の歯科医師と相談しながら最適なタイプを選んでいきます。